「絶対に儲かります」と言われて購入した投資用マンション

投資用ワンルームマンションの営業担当者から、

「このエリアなら絶対に家賃は下がりません」

「将来売れば利益が出ます」

「ローンは入居者の家賃で払えるので、実質負担はありません」

と言われたらどうでしょうか。

投資経験がなければ、

「不動産会社のプロがそこまで言うなら大丈夫だろう」

と考えてしまうかもしれません。

しかし、不動産投資には、

家賃下落、

空室、

金利上昇、

修繕費、

管理費・修繕積立金の増額、

不動産価格の下落

など、さまざまな不確実性があります。

将来の利益を保証することはできません。

そして宅地建物取引業者による勧誘では、不確実な将来利益について断定的判断を提供する行為が宅建業法上禁止されています。


【結論】「絶対・必ず・確実」は証拠を残す

投資用不動産の勧誘で、

「絶対に儲かる」

「必ず値上がりする」

「確実に売却益が出る」

などと言われた場合、まず重要なのは、

その発言があったことを客観的に確認できる資料を残すこと

です。

確認・保存したいものは、

  • LINE・メール・SMS
  • 営業担当者とのメッセージ
  • 提案資料
  • 収支シミュレーション
  • 録音
  • 売買契約書
  • 重要事項説明書
  • ローン関係資料
  • サブリース契約書
  • 当時の広告・パンフレット

などです。

「言われた」

だけではなく、

「何を、いつ、誰から、どのように説明されたのか」

を整理することがトラブル解決の第一歩です。


「毎月ほぼ負担ゼロ」と説明され2,980万円のワンルームを購入

35歳の会社員Aさんは、勤務中に不動産会社から電話を受けました。

営業担当者から、

「老後の年金対策になります」

と言われ、後日説明を聞くことになりました。

紹介されたのは、

東京都内の中古ワンルームマンション。

販売価格は、

2,980万円。

営業担当者から渡された収支シミュレーションでは、

家賃 105,000円

ローン返済 約89,000円

などと記載されていました。

担当者からは、

「東京のワンルーム需要は強いので家賃はほとんど下がりません」

「ローンは入居者が家賃で返してくれます」

「将来売れば利益が出ます」

などと説明されました。

Aさんは、

「ほとんど自己負担なく資産を作れる」

と考え、購入しました。


ところが購入後、毎月約2万円の持ち出しに

購入後、Aさんが実際の支出を整理すると、

営業時の説明だけでは見えにくかった費用がありました。

管理費。

修繕積立金。

賃貸管理費。

固定資産税等。

設備交換。

さらに数年後には、

修繕積立金も増額。

入居者の退去後、新しい募集家賃も、

105,000円から96,000円

へ下がりました。

結果として、

Aさんの実質的なキャッシュフローは、

毎月約2万円の持ち出し

となりました。

Aさんは初めて、

「営業担当者から聞いていた話と違うのではないか」

と疑問を持ちます。


【問題点①】「絶対に儲かる」はなぜ問題なのか?

ここで重要になる専門用語が、

目次

断定的判断の提供

です。

投資には将来の不確実性があります。

それにもかかわらず、

「絶対に値上がりする」

「確実に利益が出る」

など、不確実な将来利益について確実であるかのように説明することが問題になります。

投資用マンションの勧誘について、宅建業法47条の2第1項では、宅地建物取引業者等による不確実な将来利益について断定的判断を提供する行為が禁止されています。

つまり、

「投資だから最終的には自己責任」

という一言だけで、勧誘時の説明方法が何でも許されるわけではありません。


【専門用語】宅建業法47条の2とは?

投資用マンションオーナーが知っておきたい条文の一つです。

宅建業法47条の2では、契約締結の勧誘などについて一定の禁止行為を定めています。

投資用マンションで特に問題になりやすいのが、

不確実な将来利益について断定的判断を提供する行為

です。

さらに宅建業法上は、

威迫する行為

なども禁止されています。

関連する施行規則では、

断った後も勧誘を続ける、

迷惑な時間帯に電話する、

長時間の勧誘などで困惑させる

といった行為も規制されています。


【問題点②】「家賃でローンを払える」は必ず違反なのか?

ここは慎重に判断する必要があります。

例えば、

「現在の家賃が10万円で、現在のローン返済額が8万円です」

と事実を説明することと、

「今後35年間、家賃でローンを払えるので自己負担はありません」

と将来を保証するように説明することは意味が異なります。

重要なのは、

どのような前提条件で、どの程度断定的に説明されたのか

です。

また、宅建業法違反に当たるかどうかは個別事情によって判断が異なります。

したがって、

営業担当者の発言をできるだけ正確に残しておくこと

が重要になります。


【問題点③】収支シミュレーションに「出口」がなかった

Aさんが受け取ったシミュレーションを見直すと、

家賃収入とローン返済については詳しく記載されていました。

しかし、

家賃下落

空室期間

金利上昇

修繕積立金の増額

設備交換

売却価格の下落

については十分に検討されていませんでした。

これは投資判断で非常に重要です。

投資用マンションのシミュレーションを見るときは、

「毎月いくら払うか」だけでは不十分。

「10年後にいくらで売れる想定なのか」

まで確認する必要があります。


【専門用語】出口戦略とは?

不動産投資でいう、

出口戦略

とは、

最終的に物件を、

いつ・どのような条件で売却するか

という考え方です。

例えば、

2,980万円で購入して、

10年間毎月2万円を持ち出し、

10年後に2,300万円で売却する場合。

単純な毎月収支だけを見ていては、

投資全体の結果を判断できません。

投資用不動産では、

購入価格

保有中のキャッシュフロー

ローン元金の減少

売却価格

売却費用

まで含めて評価する必要があります。


【解決までの流れ①】営業時の証拠を集める

Aさんはまず、

購入当時の資料をすべて集めました。

特に重要だったのが、

営業担当者とのLINE。

そこには、

「このエリアなら家賃はまず下がらないと思って大丈夫です」

など、当時の説明内容を確認できるやり取りが残っていました。

さらに、

営業時の収支シミュレーション、

重要事項説明書、

売買契約書、

ローン資料

も整理しました。


【解決までの流れ②】「説明された収支」と「実際の収支」を比較

次に、

購入時のシミュレーションと、

現在の実績を並べました。

例えば、

購入時想定

家賃
105,000円

現在

家賃
96,000円

さらに、

管理費、

修繕積立金、

賃貸管理費、

固定資産税等、

修繕費

を加えて、

実際の年間キャッシュフロー

を計算しました。

ここで初めて、

「なんとなく損している」

ではなく、

「説明時の想定と現在の実績がどの程度違うのか」

を数字で整理できました。


【解決までの流れ③】現在の市場価格を査定

Aさんは、

「不動産会社に問題があるなら、契約を取り消せばいい」

と最初は考えていました。

しかし、既に購入から数年が経過しています。

そこで法的対応とは別に、

現在この物件はいくらで売れるのか

を調べました。

複数社へ査定を依頼すると、

概算査定は、

2,400万円~2,520万円程度。

ローン残高は、

約2,360万円。

つまり、

売却諸費用等を考える必要はあるものの、

大幅な自己資金を追加せず売却できる可能性

が見えてきました。


【解決までの流れ④】行政・専門窓口へ相談

次にAさんは、

不動産会社の勧誘方法について相談しました。

宅建業者による悪質な勧誘については、

その業者へ免許を与えている、

都道府県

または、

国土交通省の地方整備局等

が相談・情報提供先になる場合があります。

相談するときには、

会社名

所在地

宅建業免許番号

担当者名

勧誘日時

具体的に言われた内容

メール・LINE・録音等

を整理しておくことが重要です。

また、消費生活上のトラブルとして、

消費生活センター等

へ相談する方法もあります。


【解決までの流れ⑤】「業者との争い」と「物件処分」を分けて考える

ここが今回の重要なポイントです。

Aさんは当初、

「業者との問題が解決するまで物件を売ってはいけない」

と考えていました。

しかし、

業者との交渉・行政相談・法的対応

と、

赤字物件を保有し続けるかどうか

は別問題です。

毎月2万円の赤字なら、

1年間で、

約24万円。

さらに修繕費等が発生する可能性もあります。

そこで、

トラブル対応

と、

投資判断

を分離しました。


【解決結果】証拠を保存した上で物件を売却

Aさんは、

LINE、

営業資料、

収支シミュレーション、

契約書類

などを保存。

必要な相談を行ったうえで、

物件そのものについては売却を進めました。

最終的には、

ローンを完済できる水準で売却。

毎月発生していた持ち出しを止めることができました。

このケースのポイントは、

「業者が悪いかどうか決着するまで何もしない」

という判断をしなかったことです。

問題を、

①勧誘・契約上の問題

②現在所有している物件の投資判断

に分けて考えました。


【重要】売却すると証拠がなくなる?

売却を検討する場合でも、

契約書、

重要事項説明書、

営業資料、

LINE、

メール、

録音、

収支シミュレーション、

査定書

などは保存しておきましょう。

トラブルになっている場合は、

売却前に弁護士等へ相談し、売却が今後の請求等に与える影響について確認する

ことも重要です。

法的対応と物件運用は関連する場合があるため、個別判断が必要です。


【投資用不動産の知識】表面利回りと実質利回りの違い

このようなトラブルを防ぐため、オーナーが覚えておきたい専門用語があります。

表面利回り

一般的には、

年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100

で計算します。

例えば、

物件価格2,500万円、

年間家賃120万円なら、

120万円 ÷ 2,500万円 × 100

=

4.8%

です。

しかし、これだけでは実際の手残りは分かりません。

実質利回り

管理費、

修繕積立金、

固定資産税等、

賃貸管理費、

その他運営費

などを考慮して収益性を見る考え方です。

つまり、

「利回り4.8%だから儲かる」

とは限りません。

投資判断では、

表面利回りより「最終的にいくら残るのか」

を見ることが重要です。


【投資用不動産の知識】レントロールとは?

もう一つ覚えておきたいのが、

レントロール

です。

レントロールとは一般に、

賃料、入居状況、契約条件などを整理した賃貸状況の資料

を指します。

一棟物件で特に重要ですが、区分ワンルームでも、

現在家賃

契約開始時期

更新状況

周辺募集家賃

などを確認することは重要です。

現在の入居者が10万円払っているからといって、

退去後も10万円で貸せるとは限りません。

現在家賃と市場家賃を分けて考える

ことが重要です。


「絶対儲かる」と言われて投資用マンションを購入したら?

投資用マンションの勧誘で、

「絶対に儲かる」「確実に値上がりする」など、不確実な将来利益について断定的な説明を受けた場合、宅建業法上の禁止行為が問題となる可能性があります。

対応の基本は、

証拠保存 → 契約確認 → 説明時と実績の比較 → 現在査定 → 免許行政庁等への相談 → 必要に応じて専門家相談 → 保有・売却判断

です。

特に重要なのは、

  • LINE・メール・録音を消さない
  • 営業資料を保存する
  • 収支シミュレーションを保存する
  • 宅建業者の免許番号を確認する
  • 誰が何を言ったのか時系列化する
  • 現在の実質収支を計算する
  • 現在の売却価格とローン残高を確認する
  • 法的トラブルと投資判断を分けて考える

ことです。

「営業担当者に問題があった可能性」と「その物件を今後も所有するべきか」は、別々に検討することが重要です。


宅建業者とのトラブルで残しておきたい情報

行政等へ相談するときに役立つのが、

5W1Hでの記録

です。

いつ(When)
勧誘・契約日はいつだったか。

どこで(Where)
電話、自宅、勤務先、喫茶店、会社事務所など。

誰が(Who)
会社名、担当者名、宅建業免許番号。

何を(What)
どの物件について何を説明されたか。

なぜ(Why)
老後対策、節税、資産形成など、どのような理由で購入を勧められたか。

どのように(How)
電話、訪問、SNS、長時間勧誘など。

「絶対儲かると言われました」

だけより、

「○月○日19時頃、担当者○○から電話で『このエリアなら家賃は絶対に下がらない』と言われた」

と整理した方が、相談時に状況を伝えやすくなります。


再発防止|投資用マンション購入前に確認する5つの数字

営業担当者の、

「大丈夫です」

ではなく、数字を確認します。

①現在家賃

現在の入居者はいくら払っているか。

②市場家賃

今退去した場合、いくらで募集できそうか。

③年間支出

管理費・修繕積立金・固定資産税等まで含めます。

④ローン残高推移

5年後・10年後に残債はいくらになるか。

⑤想定売却価格

5年後・10年後にいくらで売却できれば投資として成立するのか。

この5つを、

楽観シナリオ

標準シナリオ

悪化シナリオ

で計算することが重要です。


よくある質問(FAQ)

Q1.「絶対に儲かる」と言われたら宅建業法違反ですか?

宅建業法では、不確実な将来利益について断定的判断を提供する行為を禁止しています。ただし、実際に違反へ該当するかは発言内容、状況、証拠等を踏まえた個別判断になります。

Q2.「家賃でローンを払える」と言われた場合も違反ですか?

その一言だけで直ちに判断することはできません。現在の収支を説明したのか、将来にわたって負担が発生しないと保証するような説明だったのかなど、具体的な内容が重要です。

Q3.宅建業者の悪質な勧誘はどこへ相談できますか?

業者の免許行政庁となる都道府県や地方整備局等への相談・情報提供が考えられます。また、消費生活センター等へ相談する方法もあります。会社名・免許番号・担当者・日時・具体的なやり取り等を整理しておくと相談しやすくなります。

Q4.証拠がLINEしかありません。意味はありますか?

LINE、メール、SMS、営業資料、録音等は、当時どのような説明があったかを整理するうえで重要な資料になり得ます。削除せず保存してください。法的な証拠価値については個別事情によるため、必要に応じて弁護士へ相談してください。

Q5.業者とのトラブルが解決するまで物件を売却しない方がいいですか?

一概にはいえません。毎月赤字が続いている場合、保有を続けることで損失が拡大する可能性もあります。一方、売却が法的請求等へ影響する可能性もあるため、紛争中の場合は売却前に専門家へ確認することをおすすめします。



「購入時に聞いていた話と違う」と感じているオーナーへ

投資用マンションを購入して数年経ってから、

「こんなはずではなかった」

と感じるオーナーは少なくありません。

しかし、

「営業担当者に騙された」

だけで終わらせてしまうと、問題は解決しません。

まず確認したいのは、

購入時に何を説明されたのか。

その証拠は残っているのか。

現在、毎年いくら持ち出しているのか。

ローンはいくら残っているのか。

現在売却するといくらになるのか。

です。

特に、

「絶対に儲かると言われた」

「家賃は下がらないと言われた」

「将来必ず高く売れると言われた」

「自己負担は発生しないと言われた」

「断ったのに何度も勧誘された」

「長時間帰してもらえず契約した」

といった事情がある場合は、

営業担当者とのLINE・メール・録音・営業資料・収支シミュレーション・売買契約書・重要事項説明書を捨てずに保管してください。

一般社団法人 不動産トラブル解決協会では、投資用ワンルームマンションについて、

購入時の説明

現在の収支

ローン残高

賃貸状況

サブリース契約

現在の査定価格

などを整理し、

問題点を把握したうえで今後の選択肢を検討するための相談を受け付けています。

不動産会社とのトラブルが疑われる場合でも、

「業者に問題があったか」だけを見るのではありません。

同時に、

「この物件を今日からどうするのが、オーナーにとって合理的なのか」

を考えることが重要です。

それが、投資用不動産トラブルを解決するための第一歩です。

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