「サブリースはオーナーから解約できません」と言われたら?

投資用マンションを売却しようとしたとき、思わぬ障害になることがあるのがサブリース契約です。

「売却したいのでサブリースを解除したい」

とサブリース会社へ連絡したところ、

「オーナー側からは解約できません」

「正当事由が必要です」

「弁護士を通してください」

などと言われ、売却そのものを諦めかけるケースがあります。

結論からいうと、「契約書に解約条項があるか」だけで判断するのではなく、契約形態、借地借家法との関係、解約理由、サブリース会社側の事情、解約条件、売却価格への影響まで整理して交渉方針を検討することが重要です。


目次

【解決事例】サブリース付き査定2,650万円→解除後3,120万円で売却

会社員のAさんは、所有している投資用マンションを売却することにしました。

物件には普通借家契約によるサブリースが付いており、

サブリース会社からオーナーへの賃料:月額89,500円
実際の入居者賃料:月額108,000円

という状態でした。

毎月、

108,000円-89,500円=18,500円

の差があり、年間では約22万2,000円となります。

売却査定を依頼すると、

サブリース付き:約2,650万円

という評価でした。

一方、サブリースを解除して通常の賃貸状態に戻すことができれば、より高い価格で売却できる可能性がありました。

そこでAさんはサブリース会社へ解除を申し入れました。

しかし、最初の回答は、

「オーナー側からは解約できません。必要であれば弁護士を通してください」

というものでした。


なぜサブリースは簡単に解約できないことがある?

サブリースでは、

オーナー → サブリース会社 → 入居者

という契約関係があります。

オーナーから見るとサブリース会社は「管理会社」のように感じることがありますが、マスターリース契約では、サブリース会社が賃借人という立場になります。

そのため、

「売りたいので管理会社を変更します」

という通常の管理委託契約と同じ感覚では解約できない場合があります。

特に普通借家契約では、借地借家法との関係を確認する必要があります。


「正当事由」とは?

サブリース解約を調べると頻繁に登場するのが正当事由です。

簡潔にいうと、

賃貸人側から建物賃貸借の終了を求める際に、オーナー側・賃借人側双方の事情などを総合的に考慮して判断される理由

です。

重要なのは、

「売却したい=必ず正当事由になる」

わけではないことです。

具体的に正当事由が認められるかどうかは個別事情によって異なるため、必要に応じて弁護士等の専門家による確認が必要になります。


【解決までの流れ①】まず契約関係を整理する

Aさんのケースでは、いきなり法的手続へ進むのではなく、まず契約内容を整理しました。

確認したのは、

  • 契約形態
  • 契約期間
  • 更新条件
  • オーナー側の解約条件
  • サブリース賃料
  • 実際の入居者賃料
  • 解約時の条件

などです。

ここで重要なのは、

「管理委託契約なのか」「マスターリース契約なのか」

を正確に把握することです。


【解決までの流れ②】サブリース解除による売却価格差を確認

Aさんがサブリースを解除したかった最大の理由は、売却価格への影響でした。

サブリース付きの状態では、

査定価格:約2,650万円

でした。

一方、サブリース解除後に通常の賃貸状態として売却できた場合、

3,120万円

での売却が実現しました。

差額は、

3,120万円-2,650万円=470万円

です。

つまり、この事例ではサブリースの有無によって、売却価格に約470万円の差が生じました。

もちろん、すべての物件で同じような価格差が発生するわけではありません。

立地、築年数、家賃、利回り、契約条件、市況などによって結果は大きく異なります。


【解決までの流れ③】解約違約金「賃料6か月分」で交渉

Aさん側は、物件を売却する予定であることを説明しながら、サブリース会社と複数回の交渉を行いました。

その結果、解約条件として提示されたのが、

サブリース賃料6か月分

でした。

今回のサブリース賃料は月額89,500円なので、

89,500円 × 6か月 = 537,000円

となります。

約54万円の負担です。

Aさんにとって決して小さな金額ではありません。

しかし、ここで重要なのは、

「違約金が高いか安いか」だけで判断しないこと

でした。


解約違約金と売却価格差を比較すると?

今回の事例では、

サブリース付き査定:約2,650万円
解除後の売却価格:3,120万円

なので、

価格差:約470万円

です。

一方、

解約違約金:約53万7,000円

でした。

単純比較すると、

470万円-53万7,000円=約416万3,000円

となります。

つまり、このケースでは解約違約金を支払っても、売却価格差の方が大きい結果となりました。

そのためAさんは、

解約違約金だけを見るのではなく、「解除にかかる費用」と「解除によって得られる売却上のメリット」を比較して判断

しました。


結果|サブリースを解除し3,120万円で売却

最終的に条件交渉がまとまり、サブリース契約を解除。

その後、物件は、

3,120万円

で売却されました。

サブリース付き査定が約2,650万円だったため、価格差は約470万円。

解約違約金約53万7,000円を考慮しても、今回のケースでは解除を行う経済的メリットが大きい結果となりました。

ただし、これは一つのモデル事例です。

サブリースを解除すれば必ず売却価格が上がるわけではありません。

物件によっては、サブリース付きのまま売却した方が合理的なケースもあります。


サブリース解約金は払った方が得?

サブリース会社から解約金・違約金を提示された場合は、金額だけで高い・安いを判断しないことが重要です。

比較するべきなのは、

サブリース付き売却価格
と
解除後売却価格-解約に必要な費用

です。

今回のモデルケースでは、

  • サブリース付き査定:約2,650万円
  • 解除後売却価格:3,120万円
  • 売却価格差:約470万円
  • 解約違約金:約53万7,000円(賃料6か月分)

となりました。

解約コストより売却価格改善効果が大きい場合は、合意解約を検討する経済的合理性が生じる可能性があります。


サブリース解約で確認したい7項目

  1. 契約形態
  2. 契約期間・更新条件
  3. オーナー側の解約条件
  4. サブリース賃料
  5. 実際の入居者賃料
  6. サブリース付き・解除後それぞれの売却価格
  7. 解約違約金・その他費用

特に売却目的の場合、

「サブリースを解除できるか」だけでなく、「解除することで最終的な手取りが増えるか」

まで確認することが重要です。


よくある質問(FAQ)

Q1.サブリースはオーナーから絶対に解約できないのですか?
一律に「絶対にできない」とはいえません。契約形態、契約条項、双方の事情などによって異なります。普通借家契約では借地借家法との関係もあるため、個別案件については専門家への確認が必要です。

Q2.売却したいという理由だけで正当事由になりますか?
売却希望だけで必ず正当事由になるとは限りません。正当事由は双方の事情などを踏まえて判断されます。

Q3.解約違約金を払えば必ずサブリースを解除できますか?
必ずではありません。違約金・解約金を含む条件について双方が合意することで解約できるケースがあります。

Q4.解約違約金が賃料6か月分なら支払った方が得ですか?
金額だけでは判断できません。サブリース付きの売却価格と解除後の売却価格の差、売却諸費用なども含めて比較する必要があります。

Q5.サブリース付きのまま売却することもできますか?
可能なケースがあります。ただし、サブリース賃料や契約条件によって、投資家から見た収益性や売却価格に影響する場合があります。



「サブリースだから売れない」と諦める前に

サブリース解約問題では、

「解約できる・できない」だけで判断しないこと

が重要です。

まず、

サブリース契約書・現在のサブリース賃料・実際の入居者賃料・ローン残高・サブリース付き査定価格・解除後の想定売却価格・解約条件

を整理してください。

今回のモデルケースでは、

サブリース賃料89,500円、入居者賃料108,000円、解約違約金約53万7,000円、サブリース付き査定2,650万円、解除後売却価格3,120万円

という条件を比較することで、解約を検討する経済的合理性を確認できました。

一般社団法人 不動産トラブル解決協会では、サブリースを解約できない、解約違約金を提示された、サブリース付きだと売却価格が低いといった投資用不動産オーナーからの相談を受け付けています。

「解約できるか」だけではなく、解約した場合と解約しない場合で、最終的にいくら差が出るのか。

そこまで数字で比較することが、サブリース問題を解決する重要な第一歩です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別案件に対する法律・税務上の助言ではありません。サブリース契約の解除、正当事由、解約違約金等については契約内容や個別事情によって判断が異なるため、具体的な法的判断が必要な場合は弁護士等の専門家へご確認ください。

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